群馬が生んだ、現チェコフィル首席佐藤直紀とその師大嶋義実が送る

~大嶋義実&佐藤直紀デュオ・リサイタル ピアノ:笠原純子

~2本の純金フルートが紡ぐプラハの想い出~

202683()  18時開場 1830開演、指定席 S:4000円 A:3000円 

B.スメタナ: モルダウ-2本のフルートとピアノのための(佐藤直紀編)

佐藤直紀:饗~2本のフルートとピアノのための~

F.ドップラー: ハンガリー小二重奏曲

スペシャルトーク/プラハへの想い出 サプライズ演奏

P.ヴラニツキー: フルート二重奏曲ニ長調 作品Ⅱ‐1

F.&K.ドップラー:プラハの想い出

プロフィール

Yoshimi Oshima大嶋義実 Fluteフルート

京都市立芸術大学卒業後、ウィーン国立音大を最優秀で卒業。プラハ放送交響楽団首席フルート奏者、群馬交響楽団第一フルート奏者を歴任。2024年まで京都市立芸術大学副学長・理事、同大音楽学部・大学院研究科教授を務め、現在同大名誉教授。日本音楽コンクール他、内外のコンクールに入賞入選。ソリストとして国内はもとよりヨーロッパ各地、アジア諸都市で毎年公演を行なうほか、プラハ響、群響、京響をはじめ数多くのオーケストラと協演。13枚のCDをリリース。2008年発売の《モーツァルト・フルート四重奏、協奏曲集》は「モーツァルト信奉者たちを統合するための全てを備えている」と仏ディアパソン誌上で評される等、日本、海外の主要音楽誌において高い評価を得た。著書「演奏家の語る音楽の哲学」が第1回音楽本大賞読者賞を受賞。他に「音楽力が高まる17の『なに?』」も好評を博し、音楽之友社版シュールホフ、マルチヌー「フルート・ソナタ」解説は邦文による貴重な資料となっている。

Naoki Sato 佐藤直紀 Fluteフルート

群馬県安中市生まれ。11歳よりフルートを始める。新島学園中学・高校を卒業後、京都市立芸術大学にて大嶋義実、ドイツ・ハンブルク音楽院にてヴァルドー・ケネン、ハンブルク音楽大学にてハンス=ウド・ハインツマンの各氏に師事。

その後、スウェーデンのヨンショービン・シンフォニエッタ、同じくスウェーデンのノルランズ・オペラにて客演奏者を務めた後、2019年よりチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席フルート奏者に就任。ソリストとしてチェコ国内のオーケストラと共演するほか、「笛僧」という名前で作・編曲活動もおこなっている。現在「季刊ムラマツ」にて、フルート奏者列伝『ドイツ・フルート奏者の系譜』を執筆、連載中。

Piano ピアノ  笠原 純子
国際ロータリー財団奨学生として渡欧後、ドイツ国立ザール音大大学院・国家演奏家資格課程を最優秀の成績で修了。ABC新人コンサートオーディション、ルービンシュタイン国際ピアノコンクール他入賞。ヨーロッパ、アメリカ、南米、ロシア、イスラエル、日本各地でのリサイタルの他、欧州各地の国際音楽祭に度々出演。ベルリン・フィルのコンサートマスターや首席奏者、ザグレブ弦楽四重奏団、チェコ・フィル弦楽三重奏団、同四重奏団、同六重奏団、ゴラン・コンチャル、イルジー・ヴォディチュカらとの室内楽、サンクトペテルブルク国立カペラ交響楽団、ザグレブ・フィル等、国内外のオーケストラとの協演も数多い。現在、大阪芸術大学、京都女子大学非常勤講師をつとめる他、IMAマエストロを主宰、三十年来のアレクサンダーテクニック研鑽を活かした演奏指導を行い、反響を得ている。ラプトサウンドより5枚のCDをリリース、好評を博す。

大嶋義実、佐藤直紀を迎えて  ~プラハの想い出

群馬交響楽団は、2020年10月コロナ禍のなか群響名誉指揮者高関健によるスメタナの「わが祖国」全曲を演奏。プレトークで高関は、当時音楽監督として携わった群響欧州公演におけるプラハの春国際音楽祭での思い出などを語った。

群響は1994年、草津町、高崎市の姉妹都市でもあるカルロリヴァリー・ピルゼンを皮切りに、プラハからブタペスト、ブラティスラバ、ウィーンと、ハプスブルグ三都を含む初の海外公演を行った。なかでもプラハにおける「プラハの春国際音楽祭」への登場は、群響にとってはもちろん、同音楽祭にとっても画期的なひと時となった。というのもこの音楽祭は、悲惨な戦争を経験した世界が希求する「平和」のため、音楽の力を信じる人々によって戦後間もなく設立されたからだ。それは取りもなおさず終戦直後に産声を上げた群響の理念と一致する。

1992年打ち合わせのため、私は大嶋の案内でプラハを初めて訪れた。当時プラハの春の音楽祭の委員長をつとめていた作曲家でもあるペトル・エーベン氏とプラハ市民会館内市長ホールで会談するためだ。大嶋は群響入団以前、プラハ放送交響楽団の首席奏者を務め、同地の音楽関係者ときわめて近しい関係を築いていた。その縁をつなぐためにも、平和に対する同じ想いを共有する群響の「プラハの春の国際音楽祭」への招待を氏に願い出た。群響が、同音楽祭と同じ目的によって設立されたことを力説したことが懐かしい。

当時大嶋は、オーケストラ活動の傍らプラハを含め海外のみならず、日本においても積極的にソロ活動も展開していた。そのころ安中市に生まれ、群響の演奏に親しみ、幼稚園時代から母親に連れられ県内で行われる大嶋のほとんどの演奏会に顔を出していたのが、現チェコ・フィル首席フルート奏者佐藤直紀だ。

彼は長じて自らもフルートを吹きたいと、すでに群響を退団し、京都市立芸術大学で教鞭をとるようになっていた大嶋の門をたたく。同大卒業後はハンブルクに留学、ヨーロッパ各地のオーケストラで客演奏者を務めた後、2019年ついにこの座を射止めた。

チェコの首都プラハから帰国した大嶋が群響とプラハの縁をつなぎ、その縁がまたチェコとつながるという国際的サイクルが現実のものとなった。

世界的オーケストラの首席フルート奏者の歩みが群響という土壌から育まれたことを思うとき、それはまさに群馬の示したポテンシャルそのものともいえるのではないか。

今回のデュオ・リサイタルは、二人の歴史的軌跡とインターナショナルな文化が感じられる場であり、日本クラシック音楽界におけるエポックメイキングなコンサートともなろう。群馬交響楽団の音楽的躍動、師弟による芸術的結晶、そして国際舞台への挑戦は、今後も日本音楽界に刺激と希望を与え続けるに違いない。その響きが、聴衆の心へと深く届く瞬間を待つばかりだ。なお両名の愛器が共に純金であることがコンサートタイトルの由来であることを付け加えておく。 

(株)空間あい 新井淨 (元群馬交響楽団)